D to Cの本をよく読んでいます。
toC → 対個人(Customer)のビジネス
toB → 対企業(Business)のビジネス
DtoC → Direct to Customer。作り手が、卸や小売を挟まずに直接個人に販売するビジネス
※ざっくり解説です。
司法書士とか士業の仕事って基本的にtoCじゃないですか。
(あ、不動産会社さんがメイン顧客だよというtoB層は別としてね)
なので関連書籍本よく読むんですが、
これは最近読んだ中で面白くてとてもためになった本。
D to Cで上手くいっている企業の
SNSを駆使して顧客とコミュニケーションを取ったり、ブランドの世界観を圧倒的に打ち出してファン作りをしているという事例が多数載っています。
で、今日私が話したいなと思っているのは
カスタマーサポートからカスタマーサクセスへの話なんです。
メガネを買ったところはゴールなのか?スタートなのか?
カスタマーサポートって、多くの人がよく耳にする言葉だと思います。
商品を買ったあと、不具合があったり、使い方がわからなかったりするときに問い合わせる先がカスタマーサポート。
つまりはアフターフォローですね。
コールセンターとかヘルプデスクのイメージがあるかもしれません。
でも、ちょっと考えてみてほしいんですけど
たとえばあるお店でメガネを買ったお客さんがいるとしますね。
すると
お店にとってはメガネを売ったところはゴールと思われます。
だからその後に起こるお客さんとの接点はアフターフォローという扱いということになるんですが
ここで想像してほしいのは
お客さんにとっては逆で、
メガネを買ったところはスタートだということなんです。
そのメガネを買って
明日からどういう場面で使うのか、誰に見せてどんな反応をもらいたいのか。
そのメガネでどんな幸せな日々を送っていくのか。
メガネを買った時点ではお客さんには何の変化も起きていない、つまりまだスタート地点に過ぎません。
そのメガネをかけて生活し始めた後の
お客さんの幸せ、成功をお手伝いすると言う視点だと、
それはアフターフォローという視点では足りないのではないだろうか?
そこで生まれた考え方が
カスタマーサポートではなく「カスタマーサクセス」です。
カスタマーサクセスとして具体的に行う業務としては
数日後、数ヶ月後にメガネのかけ心地について尋ねるメールを送ったり
買ったメガネに相性の良いファッションのスタイルやカラーを教えてくれたり
購入者限定のコミュニティに招待したり(自分のメガネをかけた写真をアップロードして自慢したい人は嬉しいようです)。
カスタマーサポートと何が違うかというと
カスタマーサポートはお客さん側から発信された問題を受動的に解決することですが
カスタマーサクセスはお店側から能動的にお客さんとの関係を作っていき、お客さんの幸せのために何かできることはないかな?と常に気にかけているようなイメージです。
債務整理を完了した時点はゴールなのか?スタートなのか?
ここで急に司法書士の仕事に置き換えてみますね。
たとえば依頼者の債務整理が数ヶ月、いや数年かけて完了したとします。
そうすると司法書士としては、
「あーやっと終わった〜手を離れた〜!」と安堵しますよね。
つまりは私たち司法書士にとってのゴールです。
しかし、その依頼者にとってはどうなんでしょう?
債務整理が終わった時点では、その依頼者にはまだ何も変化は訪れていない。
この先どうやって生活を立て直していくのか?どうやって生きていくのか?
ここは、依頼者にとってのスタート時点ではないでしょうか。
そうすると、私たち司法書士とその依頼者の間にその後生まれるやり取りは
カスタマーサポートではなくて、カスタマーサクセスの視点が必要なんではないか?
と私は思い至ったわけであります。
同じように考えると、債務整理の他にも
家を売却し終えたとき
相続手続きを終えたとき・・
離婚協議書を作成し終わったとき・・・
私たちは依頼者のライフイベントの様々な瞬間に関わりますが、
私たちが仕事を終えたとき(ゴールに到達したとき)、それは依頼者にとってのスタート地点になると言えるのではないでしょうか。
そして、私たちがとある仕事を終えた(ゴールを迎えた)その後も
すでに完了した手続きのアフターフォローとしてではなく
依頼者の幸せや成功(カスタマーサクセス)のために関わろうという意識でいたのなら、
「司法書士の仕事って単発で一回きりでツライよね。。。」
という世界とは全く違う世界が見えてきそうな気がしています。
一回きり?いやいやLTVめっちゃ高いですよ。
そうなんです。
ここで私が強調したいのは、
「司法書士の仕事って単発で継続性がないし、価値が出しにくいから顧問契約とかも難しい説」
そんなものはウソですよ(笑)
・・・とかっこわらいを付けちゃうような話なんです。
ここで、LTVの話を持ち出してみます。
LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)→
ひとりの顧客が、その生涯の間で自社に対してどれだけ利益をもたらしたか、収益の総額を算出するための指標)
私がこれまで師事してきた師匠方とか、hoahoaメンバーたちはおそらく
一回きりの仕事とは無縁なんですよね。
なぜなら、自然とカスタマーサクセスの視点で仕事をしているからです。
たとえば先ほどの債務整理の例で言うと
先に依頼された手続きが終わった後も、
その依頼者の生活が立ち直っていくのを手助けするために
家計管理を一緒に手伝ってあげたり、
職業訓練を紹介したり、
定期的に面会して精神的に支えたり、
まあ多種多様な相談に乗っているわけですよ。(これはある師匠の例)
そうすると、人間わりと変わるもので
また次のライフイベントがやってきたりする。
結婚したり、家を買ったり、相続が起きたり、誰かと揉め事が起きたり・・・
そこでその依頼者は、誰に依頼すると思います?
もちろん、ずっと自分に関わってくれている司法書士に、ですよね。
地域に根付いて事務所を構えていると、
その事務所で、依頼者家族の三代分の相続手続きを受託する、なんて司法書士もわりと普通にいます。
LTV、実はめっちゃ高いんですよ司法書士って。
もし自分は違うと思ったら考えてみてください。
おそらくこのhoahoaに興味を持ってブログを読んでくださっている方は、ごく自然にその視点が身についている人も少なくないと思いますが。
カスタマーサポートではなく
カスタマーサクセス
この言葉を知ることで
ちょっとでもあなたの仕事の世界観や、お客さんとの関わり方が変わることがあればうれしく思います。
山崎 梨紗