2021年7月31日、13時から16時までADR(裁判外紛争解決手続)トレーニングが実施されました。当日は、22名の方の参加者がありました。hoahoaのイベント史上最大の参加者でトレーニング開催です。今回は、ブログへの写真掲載の許可をいただいたので、写真つきでご報告できます!
1.トレーニング内容
今の気持ちを簡単に話すチェックインの後、Zoomの操作の確認を行いました。名前を変えたり、画面オフの参加者を見えなくなる設定をしたり・・・と、今後のトレーニングに必要な設定を整えていきます。
トレーニングの冒頭は、ななみさんによる「導入コンテンツ」です。体験型学習のサイクルの説明や調停人の思考、調停人の活動による当事者の変化について、基礎編で学んだことを凝縮してお話をききます。
これまで、何度も同じ内容の話をきいているのですが、何度聞いても、あらたな発見があります。トレーニングや調停の実践での経験によって、自分の気づきや周りの方からのフィードバックをいただくことで、自分自身が変化し、成長しているのだと気づかされます。
その後、メインのロールプレイが実施されました。
hoahoaのロールプレイでは、役作りをしっかり行います。申立人、相手方に分かれて、当事者がどのような性格なのか、何を大切にしているのか、キーワードとなる単語は何なのかをそれぞれ共有していきます。ロールシートを読むだけではわからない当事者をしっかり作りこむことによって、本番に近いロールプレイを行うことができます。調停人や観察者となる方は、役作りの時間にポイントの説明が行われます。
4つのグループに分かれて、30分間の調停ロールプレイが実施されました。穏やかに進んだグループ、白熱したグループと様々だったようですが、それぞれグループで振り返りを行った後、全体での振り返りを行いました。
振り返りのコメントが、対面で行った時の振り返りのコメントと同じような発言が多くて、オンラインでの話し合いが身近になったと感じさせられました。オンラインでの経験が少ないと、どうしても対面とオンラインの違いに視点がいきがちだもんね。。。
1年半前には、オンラインで調停を行うことは例外的なものと考えていましたが、これからはメインで考えなければいけないのではないかと思います。各司法書士会の調停センターでも、それに向けてルール作りをしているという話も聞きます。とすれば、今回のオンラインでの調停ロールプレイで得たものは、今後の実践の場で生かされるものだと感じました。
2.参加者のアンケートから
一筋縄ではうまくならないというのは、本当ですね。皆様の振り返りを、お聞きして、経験者とかも、いらっしゃるとのことですが、自分では、気が付かないことを、皆様が、多く述べられて、勉強になりました。
3.担当のみちさんへインタビュー
私も自分が所属している別の団体や研究者の方の力も借りながら いろんなことにチャレンジしてきました。
そこで感じたことといえば オンラインといっても リアルとはそれほど大きくは変わらないなということですね。
そのときはリアルとの違いについてもいろいろ検討したんですけど、たとえば目線をあわせるのが難しいとか、画面に映っていないところにだれかいたり、録音なんかしてても気づきにくいとかいった まあデメリットみたいなこともいくつかあるんですけど、反対に相手からの身の危険を感じにくいとか、オンラインのほうが最後まで相手の話を聞くようになりがちだとか、そういうメリットのほうが目立つなと思いましたね。
だからあんまり不安は感じていませんでした。Zoomの機能なんかもいろいろ研究しましたしね。
今回のトレーニングでは、事前配信コンテンツを活用して、トレーニングを開催しました。みちさんにも何度も登場していただきました。こちらについても工夫された点があれば、教えてください。
ロールプレイって結局トレーニングの仕上げなので、それだけやっても初学者の方なんかには、全く意味はないとまではいいませんが、やっぱりいろいろな点で難しいんですよね。
メディエーションの手法って意外に理論的なんで、見てなんとなく感じるだけではやっぱり足りないと思うんです。誤学習の危険なんかもあるかもしれません。
今回この事前配信コンテンツを組み合わせることで、かなり質の高いトレーニングプログラムに進化したように思います。すごいコンテンツを作ったなって思いますよ。
これは、参加されたみなさんのお力にもよるところが大きいと思うのですが、参加されたみなさんから受けた感想を教えてください。
こういう学習機会を渇望していたんだなという印象です。
今回はオンラインでの参加型学習に、いろいろ工夫してチャレンジしてみたんですけど、ほとんど・・・たぶん全員の参加者の方が、「参加型」を楽しんでおられたように思うんです。
学習意欲があまり高くない方にとっては、「参加型」ってただうるさいだけだと思うんですけど、回を重ねるごとに参加してくださるみなさんの顔が明るく目がキラキラしてきたのが、画面越しにハッキリと感じ取れましたね。
司法書士がメディエーションに関わるようになって、おそらくもうすぐ20年になると思うのですが、各地で地道な取組が続いているものの、まだまだ定着したとは言えないと思います。
私自身は圧倒的なトレーニング不足を感じています。
今回提供したトレーニングコンテンツは、さまざまな工夫とアイデアに満ちあふれてはいましたが、質の点でも量の点でも、まだまだぜんぜん足りていないなと思っています。
司法書士が自ら提供するようなトレーニング機会も、まだまだ決して十分とは言えません。
それでもトレーニングは司法書士のメディエーション文化の裾野を、確実に広げることになると思っています。
さらにもっと深く、さらにもっと広く、これからもメディエーションのためのトレーニングコンテンツを、どんどん開発していきたいと思いますので、ぜひとも継続してご参加いただきたいと思います。
(篠田貴子)